儚い瞳の守り人
第二章
檻の中
「今空いてる?」
お昼休みに沙鷗にそう誘われて、依ちゃんのニヤニヤ顔で手をヒラヒラと振られ送り出されたわたしが到着したのは、校舎の壁と、木と、学校の周りをぐるりと囲むアンティーク調の高い柵しかない学校の裏。
その木々と校舎の隙間から見える雲ひとつない空が嘘みたいに青くて、なんだか眩しい。
「知らなかった…こんなところあったんだ」
独り言のようにぼそりと呟いたわたしの声は、沙鷗に届いていたらしく沙鷗はほんのりと笑った。
「1年の頃の学校見学でも流石にこんな何もないところ来ないからね」
白い壁に手をついて空を見上げた沙鷗は懐かしそうな顔をして、その後何かに気付いたようにわたしの顔を見る。
「あれ?そういえばあの怖そうな護衛さんは?」
わたしは苦笑いして少し首を傾げた。
確かに萊のわたしを監視するような目は怖いよねぇ…。
「萊なら先生に呼び出されてた」