儚い瞳の守り人
「へぇ、そっか。まぁ…丁度良かったかな。今日は花枝さんに大事な話があってここに連れてきたから」
「大事な話?」
思わず反射で聞き返してしまった。
確かに…ずっと連れられながら不思議には思ってた。
わたしと沙鷗はあの日から関係が発展する訳でもなく、すれ違えば挨拶をするぐらいだし、わたしの教室に今まで来たことのなかった沙鷗が今日はドアから顔を覗かせていたから。
「そう。大事な話」
思い当たる節はあるけど…わたしの自意識過剰かな……。
鷹姉と亜紀兄が言ってたようにあの『一目惚れした』っていう告白みたいなものの、返事とか…。
いや‼︎もしかしたらってだけで、分かんないけど‼︎
違ってたら恥ずかしいから話を聞くことに限る。
でももし返事が欲しいと言われても、どう答えればいいのか分からない。
どう答えるかもまだ考えれてない。
中途半端なことするくらいなら断った方がいいのかな…。
「俺さ……」
沙鷗は目を閉じてゆっくり息を吸い込んだ。