儚い瞳の守り人


その瞬間。サイレンの音がスピーカーから鳴り響いた。


え?な…なに?


「侵入者発見。侵入者発見。生徒は直ちに教室に鍵を掛け、その場で待機せよ。教員の指示に従って…」

機械の音声が耳を貫くような大きさで二回繰り返されると、プツンと何事もなかったかのように消えた。


え……今の何だったの。


そう思ってしまうぐらい周りは静かで、風が木をざわめかせる音だけが耳に入ってくる。


侵入者って…。危ない人ってことだよね?


それに、この学校の厳重な警備システムが突破されたってこと?

そんなの、今まであったことないし、聞いたこともないよ。


そんなのあり得ない…けど、危機管理システムが作動して放送が入ったってことはそういうことなのだろう。


何回か訓練ではこういうことをやったことがあるけれど、本当に実際に……。

今ここで起こってるの?


あまりの静けさに、現実に起こっている出来事なのかさえ疑ってしまう。

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