儚い瞳の守り人
『このままずっと頼ってるといつか足をすくわれますよ』
仁くんの言葉を思い出した。
もう会うことも出来ないかもしれない仁くんがわたしにくれた、忠告。
ーーこの関係を壊さないといけない。
初めて心からそう思った。
助かったとしても、今のままじゃいられない。萊の心の拠り所になれるくらい、強くなりたい。
大切な人は、もう、あの無力だった幼い頃のようになくしたくない…。
「大丈夫か、蓬」
わたしを気遣うように後ろを振り返った萊は速度を緩めた。
「うん。大丈夫…」
強力で安全な檻で囲われているかのような、この守られ続ける関係から抜け出して。
気遣ってもらわなくたって、守られなくったって自分の足で歩いて、外に出ていける。
生きていける。
そうなれば、わたしは少しでも萊の支えになれるのかな。
「わたしのことは気にしないで」
「……」
ただ萊と対等な自分で、萊の側に、ずっと、一緒にいたいが為に。