儚い瞳の守り人


「飯月。萊斗の状態はどうだ」

「あんぐらい余裕余裕。俺たちと喧嘩した時の方がよっぽど酷かったんじゃない?」


飯月さんはいつもの軽い口調で笑い飛ばしているのに、長の表情は相変わらず暗い。

「……そうか」


あぁそういえば。

萊が包帯をしてくるほどの怪我をして帰ってきたところは何回か見たことあった。


大きな怪我を負っているから驚いて、その度にどうしたのかと聞いていたけど、口を固く閉じて話してくれなかったのを思い出す。


どんな危ないことをしてるのかと心配してたけど、そういうことだったのか。無双会の人たちと……喧嘩。


でもあのときと今の怪我の具合がそんなに変わらないと言うのなら…。


「良かった…」

思わず溢れた安堵の言葉に賛成するかのするように鷹姉たちの表情も緩んだ。


長の表情は気になるけど…。



「それはそうと蓬お嬢ちゃんは分かるんだが、この2人は?」

長が目を亜紀兄と鷹姉の方に向けると、2人は正座をし直して姿勢を正した。

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