儚い瞳の守り人
警察に追われた時、驚きもせず何も言わずに萊についていった亜紀兄たちは、何かしらのことは知っているとしか思えない。
警察に追われる、という意味を。
何も知らないのはわたしだけ、か。
「ほぉ……萊斗なぁ」
気難しい顔になった長は少し考えた後、考え直したかのように明るい表情になった。
「まぁ取り敢えず今日はここで休め。飯月、蓬お嬢ちゃんに部屋貸してやれ」
「ラジャ」
「亜紀くんはここの部屋、鷹ちゃんは今ここにはいないNo.3の雨宮の部屋だ。すまんなぁ。ここに住んでるのは男3人しかいなくて…」
わたしが何か言うヒマもなく話がどんどん進んでいった。
「あの、ちょっと待って下さい‼︎わたしたちならホテルとかに泊まればいいし、寝る場所まで提供してもらわなくても…」
「金はあるのか?」
長の初めて聞く低い声に少し背筋が凍った。
お金はわたしたちが国から支援されているお金があるから…。
あぁ……そっ……か。