儚い瞳の守り人
わたしたちは何の準備もなく逃げて来た。
そんなわたしたちは当然お金を持っていなくて、多分亜紀兄も鷹姉も一銭もないだろう。
それに今ここでお金を持っていたとしても、それはほんの少し。
国からの支援なんて、学園から逃げてきた私たちには継続されない。
わたしたちは金銭面でも、国に頼ってた…そして、何もかもを、捨てなければいけなくなった。
「すみません…」
「まぁ困ったときはお互い様だ」
柔らかい表情に戻った長にホッとした。
「飯月、風呂や部屋の場所の案内頼むぞ」
「はいよ」
それからわたしたちは14階フロアの隅々まで丁寧に案内をされ、置いてあるゲームからジムの中にあるマシーンの用途まで飯月さんは説明してくれた。
「……こんなもんかな」
「ありがとうございます」
「どうする?これから。疲れてるだろうし部屋で休んでって言いたいところだけど、着替えとかないだろ?買い出しに行かないといけないし」
「俺は休まなくても大丈夫です」
「わたしも…蓬は?」