儚い瞳の守り人
どうすればいいかも、何が起こっているかも、分からなくてそれを放棄してしまうような、馬鹿でどうしようもない人間。
でも、わたしは変わりたい。
萊から手をそっと離して、近くにあった椅子を萊の見える位置に持ってきて座る。
スマホをポケットから取り出して時間を確認する。まだ時間はある。
萊を見つめて、わたしの瞼はゆっくりと時間をかけながら閉じていった。
「蓬ちゃん」
耳元でそう呼ばれてはっと目を覚ましたわたしは、反射で立ち上がる。
そこにはさっき奏愛と呼ばれていた女の人がいた。
「ごめんね。気持ち良さそうに寝てたから起こすのは悪いと思ったんだけどもうそろそろ行かないと、危ないから」
「すっ……すみません…」
あれから30分以上経っていたみたいだった。
何やってんだ……わたし。
「取り敢えず準備して。鷹ちゃんが待ってるから」
「はい…」
ぐっすりと寝ている萊を部屋から出る間際にもう一度見て、奏愛さんを追った。