わたしの意地悪な弟
 なんでわたしがと最初は思ったが、マイペースな二人に押されてしまい、今に至り、今ではもう慣れてきてしまった。

 わたしの正面に座る母親の藤宮花枝は歳の割には可愛い感じの女性だ。

優しげながらも凛とした目元は日和を連想する。

わたしはどちらかといえば童顔で、母親とは似ても似つかない。

母親の身内とは誰一人として似ていない為、父親似なのだろうと感じていた。


 わたしの母親の隣で、丁寧な箸使いでご飯を食べるのは、樹の父親の藤宮陽輔だ。

目鼻立ちの整った男性で、客観的に見ればかっこいいとは思う。

樹は大人になれば、彼に似るのではないかと思うほど、彼と面影がある。

朗らかな人だが、怒るときは容赦ない。

それは実の子供の樹だけではなく、わたしや日和に対してもそうだと思う。

ただ、わたしも日和も怒られるようなことをしないタイプだったので、あくまで思う、と想像の域を出ない。

ただ、幼いとき樹を怒っていた彼を見る限り、後に引かずフォローを忘れない、気遣いができるタイプのようだ。
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