わたしの意地悪な弟
 わたしの知らない子だが、樹絡みの子なのだろう。

 彼女はピンクの唇に触れると、口元を歪め、勝ち気な笑みを浮かべた。

「話があるんですけど、いいですか?」

 わたしは嫌な予感を感じ、すぐにはいいと言えなかった。

「すぐに終わりますから」

 彼女はわたしの返事を聞かずに、勝手に歩き出す。

 何でこうなんだろう。

 学校があれているわけでもないし、樹の冗談一つで暴力が振るわれたりはしないだろう。

 そう思いながらも、わたしに対して良い感情を持っていない人たちについていくのは抵抗があった。

 きっと大丈夫だと、自分に言い聞かせながら、仕方なく、彼女の後についていくことになった。
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