わたしの意地悪な弟
 さっきからまれたことを気にしてか、利香が保健室まで送ってくれた。

 彼女は先生にわたしが体調が悪いと話を通してくれ、しばらくベッドで眠っておくことになったのだ。

 その時に熱も測ったが、案の定熱はなかった。

 だが、わたしが思う以上に体は負担になっていたのか、ベッドに横になるとすぐに眠りに落ちて行った。

 ふと人の気配を感じ、目をあける。そこには、黒い髪の毛をショートにした、保健の近藤先生の姿があった。

「ごめんなさい。起こしてしまったかしら?」

「いえ、今、何時ですか?」

「もう少しで五時間目が終わるところよ」

 わたしは頷くと体を起こした。随分と体が楽になった気がする。

 やっぱり保健室に来てよかった。

「顔色もよくなったみたいでよかった。帰りは弟さんが迎えに来るらしいから、そのまま残る?」

「どうして樹が」

「あなたの友人から聞いたみたいで、やってきたわ。ものすごく心配していたわよ」

「すみません」

「あなたが謝ることじゃないわよ。でも、高校生になっても仲がいいのね」
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