わたしの意地悪な弟
「日和と樹と花火大会に行く約束したんだ。だからごめんね」

「なら仕方ないね。三人で行くの?」

「そうじゃないかな。今のところはね」

「なら、三人で楽しんできなよ。利香は来てくれる?」

「いいけど、告白しても大丈夫そうなんだけどな」

 利香が岡部君のほうを見ようとすると、亜子が利香の視界を塞ぐ。

 ばれるのを気にしているのだろう。

 岡部君はわたしたちを気に留めたそぶりもない。

「行く場所は一緒なんだから、日和ちゃんさえよければ一度合流しようよ。一緒に行動しなくてもいいからさ」

 亜子はそうわたしに告げる。

 利香は頬杖をつくと、苦笑いを浮かべる。

「相談してみるね」

「こっちの無理な誘いだから、難しいなら無理にとは言わないから。でも、日和ちゃんを一度生で見てみたい」

 と亜子も付け加えた。

 亜子は高校からの知り合いで日和を見たことはないが、利香から美人だという話は聞いているようだ。

 日和もわたしと樹の会話にたまに出てくる、亜子に興味があるようだ。
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