わたしの意地悪な弟
 そうはっきりと言いはなった樹を見て、お父さんはため息をついた。

「分かった。行きたいなら反対はしない」

「ありがとう」

 だが、それで「はい」と頷けないのはわたしだ。

 わたしを嫌う彼と同じ高校にできれば通いたくなかったのだ。

「ちょっと待ってよ。何でわざわざわたしの高校を受けるの?」

「近いから」

「あの高校だって十五分しかかからないじゃない」

「五分は結構重要用なんだよ。姉さん」

 わたしの通う高校までは歩いて十分。

かなり近いという自覚はある。

だが、日和の通う高校も歩いて十五分ほどだ。

遠いと大声をあげていうほどではない。

 そもそも時間が惜しいのであれば、バスもあるし、バス停からは歩いて二、三分で到着する。

自転車を使えばもっと早く往復できる。現に日和も急いでいる時はバスで登下校をしていたのだ。

バスという選択肢のないわたしの学校はあまり便利とは言い難い。
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