わたしの意地悪な弟
わたしの昼食を奪う弟
チャイムが鳴り終わり、ため息交じりに立ち上がる。
「本当、ごめんね」
前の席の利香が肩越しに振り返り、目があった。
「いいよ。いってらっしゃい」
わたしは鞄を持ち、教室を出た。いつもわたしは利香と昼食を取る。
だが、思わぬ邪魔が入ったのだ。それはもちろん樹だ。
わたしは樹に嫌われているが、そんな彼もたまに優しさをにじませることもある。
もっともそのやさしさは結果的に勘違いだったわけだが……。
家をでるとき、母親の託してくれた二人分のおべんとうを樹が受け取るのを見て、今日がその日なのだとぼんやりと考えていたのだ。
だが、彼はそれを学校についても手放さなかったのだ。
弁当を要求するわたしに彼は涼しい顔で、「昼休みは裏庭で待つ」と言い放ったのだ。
母親が作ってくれたお弁当があるのに昼食を買うわけにもいかず、自ずと樹と一緒に食べるのが半ば強制的に決定したのだ。
階段をおりたとき、階下から声が聞こえる。
「本当、ごめんね」
前の席の利香が肩越しに振り返り、目があった。
「いいよ。いってらっしゃい」
わたしは鞄を持ち、教室を出た。いつもわたしは利香と昼食を取る。
だが、思わぬ邪魔が入ったのだ。それはもちろん樹だ。
わたしは樹に嫌われているが、そんな彼もたまに優しさをにじませることもある。
もっともそのやさしさは結果的に勘違いだったわけだが……。
家をでるとき、母親の託してくれた二人分のおべんとうを樹が受け取るのを見て、今日がその日なのだとぼんやりと考えていたのだ。
だが、彼はそれを学校についても手放さなかったのだ。
弁当を要求するわたしに彼は涼しい顔で、「昼休みは裏庭で待つ」と言い放ったのだ。
母親が作ってくれたお弁当があるのに昼食を買うわけにもいかず、自ずと樹と一緒に食べるのが半ば強制的に決定したのだ。
階段をおりたとき、階下から声が聞こえる。