わたしの意地悪な弟
わたしと距離を取る弟
 夏の名残があっという間に消え去り、冬の顔が見え隠れする時期になった。

 わたしは問題集を閉じると、その場で顔を伏せた。

 中間テストや文化祭など、多くの行事があっという間に過ぎ去り、もう期末テストを残すだけになった。

 本当は樹と過ごしたいと思っていた文化祭も、彼と会う機会もほとんどなく過ぎ去っていった。

 今でも彼との登下校はしているが、二人の会話も減り、彼は過度なスキンシップをしてくることはなくなった。

 発端はわたしの弟宣言なのだろうか。それとも恵美に何か言われたのだろうか。

 恵美に言われたときにすぐに理由を説明しておけばよかったが、わたしは結局言い出せなかった。言い方によってはキスをしてきた樹を責めているような気がして。

そのままずるずると時間だけが過ぎ、変に間を置いたせいで彼に弁解する機会を失ってしまっていたのだ。

 わたしが喉の渇きを覚え、部屋を出ると、隣の部屋も扉があく。

 そして、ジャケットを着た姿が出てきた。

「出かけるの?」

「出かける」
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