わたしの意地悪な弟
 夕食時、日和と樹の関係を遠目に見るが、樹が日和を好きだとは思えなかった。

そもそも日和が好きなら、姉のわたしにあんなことを嫌がらせでも興味本位でもするわけがないだろう。

 樹にそこまで言わしめた相手がわたしには皆目見当がつかなかった。

 それからわたしと樹の関係はすごくちぐはぐだった。

わたしの部屋に来ることもほとんどなくなり、朝はわたしが起きてくるころにはすでに学校に行ってしまっていることも多く、帰りも先に帰ってしまっていた。

 たまに樹が寝坊をしたのか登校時に一緒になっても、全く話をしないことも少なくなかった。

 親はそんなわたしたちの微妙な関係に気づき、何度か声をかけてきたが、わたしはなんでもないと返事をする。

 日和は何か思うところがあるのか、わたしや樹をじっと見ていることはあったが、深く何かを追及してくることは一度もなかった。
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