わたしの意地悪な弟
わたしを抱きしめた弟
 月が替わり、空気の冷たい時期になる。

 わたしと樹の関係は月が替わってもリセットされる気配はなかった。

 期末テストを終えると、本来なら待ちに待った冬休みが訪れるが、その前に樹の誕生日がある。

 毎年、プレゼントをあげているが、今年は正直迷っていたのだ。

 こんな関係のわたしが樹に何かあげても喜ばれるのだろうかという迷いが心を埋め尽くしていたためだ。

 わたしはペンを置くと、机に顔を伏せた。

 明日、テスト最終日だ。だが、樹の誕生日のことを考えるといまいち集中できなかったのだ。

 席を立つと、日和の部屋をノックする。

 すぐに開けていいという声が聞こえた。

 わたしはドアを開けると、顔を覗かせる。


「中に入ったら?」

 日和はペンを手にしたまま振り返ると、目を細めた。

 日和も今は期末テストの真っ最中だ。

 彼女はペンを置くと、イスから立ち上がった。
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