わたしの意地悪な弟
「勉強中にごめんね」

「別にいいよ。軽く見直しているだけだもん。どうかした?」

「日和は樹に何かあげるの?」

「そういう時期か。毎年、お姉ちゃんは樹の誕生日はしっかり覚えているね」

「そうかな」

「毎年、わたし、お姉ちゃんに聞かれるもの」

「日和の時も樹に聞いているよ」

「分かっているよ。樹がわたしの誕生日を必ず覚えているのも、だからだろうね。テスト終わったら、適当に買いに行く予定だけど」

「何買うの?」

「最近、筆箱が壊れたらしいから筆箱にしようかな」

「そっか」

 わたしはそんなことさえ知らなかった。

「試験が終わってから、何だったら一緒に行く?」

「そうしようかな」

「お姉ちゃんはまず明日のテストを頑張らないとね。来年受験だもん」

「分かっているよ」

 彼女なりにわたしを応援してくれているのだろう。

 わたしはそう言ってくれた日和の言葉に甘えることにした。
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