わたしの意地悪な弟
 わたしと樹が花火大会の日に手をつないで花火を見ているものと、わたしの額に手を乗せた写真。

顔の状態ははっきり写っていないが、おそらく二枚目はわたしと樹がキスをした直後の写真だ。

「これが昨日、ポストの中に入っていたの。日和や小梅ちゃんと花火大会に行ったのは知っているけど、その時の写真よね。いつも外でこんな感じなの?」

「それはあの」

 わたしだけではなく樹も難しい顔をしている。

 母親は疑っているのだ。わたしと樹の関係を。付き合っていないというのが正しい答えだろう。

だが、母親に見せられた写真はどう見ても兄弟には見えなかった。

 秘密にしているという約束をしたこともあり、わたしも樹も黙り込んでいた。

 せめて樹と相談する時間があればよかったが、そんな猶予もない。

 お母さんは短く息を吐いた。

「千波は樹のことどどう思っているの?」

 突然の問いかけにわたしは言葉を飲み込む。

 今まで何度も嘘をついてきたからだろう。
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