わたしの意地悪な弟
 親は一応は認めてくれたが、心の中は未だ複雑だろう。

 わたしが親の立場だったら、早めにいってくれたほうが良い。

 別れないという前提があればこそだが。

 いつか両親におめでとうと言われる日は来るのだろうか。

「この写真、お姉ちゃんに渡しておくね」

 日和は四枚の写真をわたしに渡すと部屋を出て行った。今日、学校で手に入れた写真も含めてだ。

 わたしは写真を樹に見せる。

「どうしようか?」

「捨てようか。千波が可愛く撮れているから持ったないけど、目的が目的だもんな」

「可愛いって、いつも通りだと思うけど」

「千波はいつだって可愛いよ」

 そう樹は笑みを浮かべた。

 本当に樹は相変わらずだ。

 わたしは顔が赤くなるのを自覚しながら、頬を膨らませた。

 だが、口元が緩んでいるのは樹にバレバレだろう。

 短く息を吐いた。わたしが両親の立場だったらどうしたら付き合うのを少しでも受け入れられるだろうと、今日、ずっと学校で考えていた結論を樹に伝えるためだ。
< 281 / 287 >

この作品をシェア

pagetop