わたしの意地悪な弟
わたしを避ける弟
 部屋から漏れてくる日差しに額を抱えた。重い体を起こし、辺りを見渡した。

 今日の寝起きはあまり芳しくない。昨日、あまり寝つけなかったのだ。

 冗談として片づけられたのにも関わらず、わたしは昨日のあの出来事を意識してしまっていたようだ。

目を閉じれば樹の真剣な眼差しと、間近で見た顔を思いだし、心拍数が速くなり、眠るどころではなかった。

 眠気が戸惑う心を追い抜いた時やっと眠れたが、既に十二時を大きく回っていたような気がする。

 両手で頬を抓り、こんなことではいけないと気持ちを入れ替える。

 ぼさぼさの髪の毛をかきあげると、制服に手を伸ばした。

 昨夜は夕食のとき以外、樹と顔を合わせずに済んだが、今日はそういうわけにはいかないだろう。学校に行く準備を手早く整え、部屋を出た。

廊下で制服姿の日和に会う。

「樹は用事があるから先に行くらしいよ。というか、さっき家を出ていったよ」

「まだ随分早いのに」

「だから用事があるんじゃないの?」
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