わたしの意地悪な弟
 利香もかなりの美人で人目を引くが、それ以上なのは、目の前のまだ少年といっても過言ではない義理の弟だ。

 紅顔の美少年。幼いときの彼ほどその言葉がしっくりくる人間はいない。

彼と初めて会ったのは小学校に入る前で、黄色の胴体の半分ほどある斜め掛けの鞄をおおげさにからっている姿は女の子と見紛うほど可愛かった。

 わたしと樹はわたしの母親と樹の父親が再婚して、小学校一年の時に家族になった。その二人には大まかな共通点がある。

それは二人の年齢が同じということと、二人とも伴侶の浮気で離婚をしている点だ。

 彼の母親は彼が幼稚園に入る前に他の男と浮気して離婚になったらしい。大抵子供の親権は母親が持つらしいが、あっさりと彼の父親が親権を得たことがすべてだったのだろう。

 わたしの父親はこともあろうか、日和を妊娠中のときに、他の女と浮気をして出て行ったらしい。

 日和と樹が同じ幼稚園に通った事で、両親は知り合った。

気心の知れた仲とは二人のことを言うのだろうというくらい、二人はよく一緒に過ごしていたのを目にしていた。そのため、子供同士が仲良くなるのに時間はかからなかった。
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