わたしの意地悪な弟
「行きたいって言っている奴もいないし、俺が行かないほうがいいと思うよ。クラスメイトで楽しんで来たらいい」

 彼はそう笑うと、家への帰路を急いだ。

 人数的に偶数になるようにと、あまり面識のない自分がいないほうが思ったのかもしれない。

「そんなことないよ」

「だから気にしていない」

 彼はそう言ったが、その声がいつもより弱々しく感じられた。

 だが、それ以上繰り返すのもしつこい気がして、何も言えなかった。
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