わたしの意地悪な弟
映画館の中はかなり早めに集合したのにも関わらず人が多く、入るのにも並ぶことになった。
さすがに六つもの席が並んで開いているところはなく、前後で三つずつ開いている席を前のほうに見つけたため、そこに座ることになった。
近くに座れてよかったとは思うが、亜子は名残惜しそうに前方を見つめている。
このままでは岡部君と仲良くなる機会がないままだと思ったのだろう。
「わたしが場所を変わろうか?」
利香がそう囁くと、亜子は顔を真っ赤にして首を横に振る。
利香がそう聞いたのは、彼女はたまたま岡部君の後ろに座ったためだ。
「このままでいいよ。それだと映画どころじゃないと思う」
仲良くなりたいという気持ちと、行動は別問題のようで、恋をするってこういうことなんだろう。
そんな友人を見ていると、微笑ましい気持ちになる。
わたしには今まで誰かに恋する経験が皆無だったから、想像でしか彼女の気持ちを補うことはできないけれど。
さすがに六つもの席が並んで開いているところはなく、前後で三つずつ開いている席を前のほうに見つけたため、そこに座ることになった。
近くに座れてよかったとは思うが、亜子は名残惜しそうに前方を見つめている。
このままでは岡部君と仲良くなる機会がないままだと思ったのだろう。
「わたしが場所を変わろうか?」
利香がそう囁くと、亜子は顔を真っ赤にして首を横に振る。
利香がそう聞いたのは、彼女はたまたま岡部君の後ろに座ったためだ。
「このままでいいよ。それだと映画どころじゃないと思う」
仲良くなりたいという気持ちと、行動は別問題のようで、恋をするってこういうことなんだろう。
そんな友人を見ていると、微笑ましい気持ちになる。
わたしには今まで誰かに恋する経験が皆無だったから、想像でしか彼女の気持ちを補うことはできないけれど。