わたしの意地悪な弟

 幸い、樹は甘いものが好きだし、これだったら普通に渡せそうだ。

 何がいいだろう。

 ケーキもよさそうだし、シュークリームもよさそうだ。

 ちょうど店員がやってきて、わたしたちを店の奥の、六人掛けの席に案内してくれた。

 だが、頭の切り替えがすんなりできず、わたしはメニューを見ながら、樹に何を買うかを真剣に考えていた。

「千波はどうする?」

「え?」

 利香の問いかけに自分でも間抜けと思うような声を出してしまっていた。

 いけない。

 とりあえず食べてみてから決めよう。

 そう考え、わたしは本日のおすすめケーキとコーヒーがセットになったケーキセットを注文することにした。
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