わたしの意地悪な弟
 一番食べるのが遅かったわたしの紅茶が空になるのを待ち、みんなでお店を後にした。

 ケーキはとてもおいしく、樹にお土産を買って帰ろうと決めたまではよかったが、きっかけをつかめず、お店を後にしてしまった。

 時間は三時過ぎ。

 友達と遊びに行くときはもうひと遊びする時間だが、どうするのだろう。

 亜子は岡部君と親しそうに言葉を交わしていた。

「これからどうしようか」

「わたしはそろそろ帰らないと。ごめんね」

 利香は目を輝かせている亜子に手を合わせると、そう頭を下げる。

「そうなの? 残念」

「じゃあ、この辺で別れようか」

 わたし達は半田君の提案に頷きあう。

「じゃあね」

 亜子はそう言うと寂しそうに笑う。

 彼女は一足先に別れの挨拶を告げたのは、彼女だけ方向が違うからだ。

「一緒に」

 帰ろうと言おうとしたわたしを利香が制する。

「俺が送るよ。寄りたい店があったんだ」

 その言葉に亜子の表情が明るくなる。

 二人は信号が変わるのを待ち、一足先にわたし達と別れを告げる。
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