わたしの意地悪な弟
彼はそう言い、手を出そうとしない。
いらないと言いたいのだろうか。
せっかく買ってきたのに、選んでいた時間を全否定された気がして、しゅんと肩を落とした。
自分で食べるか、日和にあげるかにしたほうがいいのだろうか。
でも、日和に状況を説明するのは少し心苦しい。
そのとき手が伸びてきて、わたしのケーキの箱を持ち上げる。
「分かったよ。もらっておく」
「ありがとう」
「お礼を言うのは俺のほうだと思うんだけど。お礼を言っておくよ」
困ったように言った樹の言葉に苦笑いで返す。
じゃ、と言い、部屋の中に入ろうとした樹の腕をつかんだ。
「次の週末、映画、身に行こう」
「はあ?」
樹は不快そうな目でわたしを見る。
「利香から聞いたの。樹も映画見たかったんだよね。気付かなくてごめんね」
樹は短く息を吐いた。
「お前、同じ映画を二度も見る気かよ。それこそ金と時間の無駄じゃないか?」
「そんなことないよ。面白かったから、二度見ても楽しめると思う。別の映画でもいいよ」
「別に映画なんて見たくないよ。行きたかったら、最初の時にそう言うと思わない? ただ券があって誘われたんだから」
いらないと言いたいのだろうか。
せっかく買ってきたのに、選んでいた時間を全否定された気がして、しゅんと肩を落とした。
自分で食べるか、日和にあげるかにしたほうがいいのだろうか。
でも、日和に状況を説明するのは少し心苦しい。
そのとき手が伸びてきて、わたしのケーキの箱を持ち上げる。
「分かったよ。もらっておく」
「ありがとう」
「お礼を言うのは俺のほうだと思うんだけど。お礼を言っておくよ」
困ったように言った樹の言葉に苦笑いで返す。
じゃ、と言い、部屋の中に入ろうとした樹の腕をつかんだ。
「次の週末、映画、身に行こう」
「はあ?」
樹は不快そうな目でわたしを見る。
「利香から聞いたの。樹も映画見たかったんだよね。気付かなくてごめんね」
樹は短く息を吐いた。
「お前、同じ映画を二度も見る気かよ。それこそ金と時間の無駄じゃないか?」
「そんなことないよ。面白かったから、二度見ても楽しめると思う。別の映画でもいいよ」
「別に映画なんて見たくないよ。行きたかったら、最初の時にそう言うと思わない? ただ券があって誘われたんだから」