わたしの意地悪な弟
わたしと遊びに行く弟
 買い物、映画、遊園地。意外と地の利が良いため、一通りのことはできるとは思う。

 でも、樹と友人と一緒に出掛けるような場所に行きたいかと言われると少し疑問が残る。

「まだ迷っているの?」

 利香がわたしのノートを覗きこみながら、問いかけた。

「なかなか決まらなくて。利香だったらどこに行く?」

「遊園地は?」

「樹が楽しむイメージがわかないんだよね。わたしは楽しめるけど」

「意外と樹君はどこでも楽しめると思うよ。今まで一緒にどんなところに出掛けたの?」

「動物園や、遊園地、映画も行ったことはあるかな。買い物も樹たちが小学生のときはお父さんとお母さんと一緒に行っていたと思う」

「たいていのところはいっているんだね」

「そうなんだよね」

 だから、樹が行けばどんな反応を示すかたいてい想像がついてしまうのだ。

映画は自動的に省くにしても、買い物は樹の買いたいものがなければ意味がないし、ごはんを食べに行くというのも微妙な気がする。

遊園地や動物園のように本格的に遊びに行くような場所を選んでいいのか分からない。

 いろいろな考えが胸中を過ぎり、あの約束から一週間が経過した今も答えが出せないでいた。
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