わたしの意地悪な弟
 戸惑いの色はあっという間に消失し、樹は冷めた目でわたしを見る。

「だから、日和と行きたいなら」

「ここでいいよ。次の休みの日な」

 樹は強引に会話を打ち切った。

 何か変なことを言ったのだろうかと思うが、口に出せばまた冷めた目で見られそうだ。

「分かった。他に行きたいところがあれば調べておいてね」

「分かったよ」

 樹はそう面倒くさそうに言うと、ため息を吐いた。
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