わたしの意地悪な弟
「樹、お姉ちゃんと出かけるんじゃないの?」

 さっきまで寝息を立てていた樹がびくりと体を震わせて、体を起こした。

 樹の部屋のベッドの位置の関係から真っ先に彼と目が合う。

 樹が即座にわたしから目を逸らす。

「よし、完了」

 日和はそう言うと、満足げな笑みを浮かべて部屋を出ていく。

 わたしと樹が部屋に取り残される。

「リビングにいるから、準備できたら言ってね。遅くなっても良いから」

 部屋に取り残されたわたしはそう言い放つと樹の部屋を出た。

 しばらくして樹が欠伸をかみ殺しながら、シャツにズボンを履き、降りてきた。

「勉強でもしていたの?」

「別に」

 樹は表情一つ変えずに、髪の毛を整える。

 彼の柔らかい髪はすぐに整いしゃんとする。

 彼の準備が終わるのを待って、わたし達は家を出た。
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