わたしの意地悪な弟
 わたしを避け、嫌っているとでも分かればすっきりはしただろう。

だが、わたしの言動にいちいち文句をつけながらこともあろうに同じ高校まで受験した。

そして、帰りがけにわたしを迎えに来たように、辞書を忘れたときや気が向いたとき、頻繁にわたしの教室に顔を覗かせることも少なくない。

それがわたしの心を余計に複雑にしていく。

 そんな関係を続けていたため、仲のよい姉弟へと傍目には映っていただろう。


 わたしの隣の席に座る樹が立ち上がると、お箸をおく。

 ごちそうさまという言葉を残し、お茶碗を手に立ち上がった。

 流し台に置くと、あっという間にリビングを出ていく。

 わたしの右手には日和の姿があり、わたしは樹と日和に囲まれるようにして食事を食べている。いや、正確には食べていた、だ。

 これもよくある日常の景色だ。

 この場所は樹と日和が真ん中で食べるのを嫌がったため、自動的にわたしが座ることになった。
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