わたしの意地悪な弟
 昼過ぎまで動物園で過ごし、わたし達は後にした。

 他の店による選択肢もあったが、そのまま家に帰ることになった。

 家の近くまできた時、わたしは樹を呼び止める。

「今日はありがとう。楽しかった」

「千波が楽しめたならいいけど、何で動物園だったんだ?」

「うん。樹と昔よく言ったから、樹と行きたかったの。久しぶりに樹と出かけられたし、それにこういうところだと友達もなかなか誘えないもん。日和もいたら、もっとよかったかもしれないね」

 樹は虚をつかれたような顔をしてわたしを見ている。

 動物園行きをあっさり許可したときとは別人のようだ。

 だが、日和と三人で行けば傍目にはどう映るんだろう。

 兄弟にはやっぱり見えないだろうか。

 その前に日和は行かないと拒否しそうだけど。

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