わたしの意地悪な弟
わたしに嫉妬してほしいという弟
 わたしは視界に移ったものに目を奪われ、足を止めた。

 もう季節は梅雨明けが近付いていた。一学期の行事として、期末テストもあるが、それは敢えて考えない。

「この雑貨、可愛いよね」

「マグカップなんて家に腐るほどあるだろう」

「分かってない。このデザインがいいんだよ」

 樹は面倒そうにそうですかと言葉を交わす。

 動物園に一緒に行ってから、樹が買い物に良く付き合ってくれるようになった。

もっとも乗り気で買い物についてきてくれるわけではないので、たまに不満を滲ませるが、それでもなんだかんだいってついてきてくれてはいる。

むしろ誘わなかった時のほうが不機嫌そうだ。

 家と学校の距離が近いため、今まで学校が終わるとすぐ家に帰っていた。

 だが、どこかに寄りたいといえば今みたいに普通についてきてくれ、少しだけ下校時間が多様性のあるものになっていた。

 利香にそのことを言えば、「仲良くなったね」と言ってくれた。

 もともと樹と仲よくなりたい気持ちはあったため嫌な気はしない。

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