キミはまぼろしの婚約者
それも気付かれないようにしていたつもりだったが、バレていたとわかると気まずさが襲ってくる。けれど。
「調子悪い時は遠慮してないで言えよ」
「俺らだって心配になるしねー」
ふたりの気遣いが素直に嬉しくて、俺は笑みを返しながら「さんきゅ」と言った。
このふたりにも、クラスメイトにも、俺の事情をずっと隠し通すのは無理かもしれないな。
部活も、体育の激しい運動も、“腰痛持ちだから”ということにして避けているけど、本当の理由はそれじゃない。
保健委員になったのも、いつ保健室に出入りしても、なるべく不思議に思われないようにするためだ。
できれば卒業まで、事情は明かさずに過ごしていたいんだが……。
そんなことを頭の片隅で考えながら歩いていくと、俺らの教室の前で見慣れた男が立っているのに気付いた。
おいおい、またか……。アイツが4組に来る用事といえば決まりきっている。
「今度は何の用?」
「ぅお」
教室の中を覗いていたキョウに声を掛けると、振り向いた彼が少し驚いたような声を上げた。
ちょっとマヌケな顔に笑いそうになる。
「調子悪い時は遠慮してないで言えよ」
「俺らだって心配になるしねー」
ふたりの気遣いが素直に嬉しくて、俺は笑みを返しながら「さんきゅ」と言った。
このふたりにも、クラスメイトにも、俺の事情をずっと隠し通すのは無理かもしれないな。
部活も、体育の激しい運動も、“腰痛持ちだから”ということにして避けているけど、本当の理由はそれじゃない。
保健委員になったのも、いつ保健室に出入りしても、なるべく不思議に思われないようにするためだ。
できれば卒業まで、事情は明かさずに過ごしていたいんだが……。
そんなことを頭の片隅で考えながら歩いていくと、俺らの教室の前で見慣れた男が立っているのに気付いた。
おいおい、またか……。アイツが4組に来る用事といえば決まりきっている。
「今度は何の用?」
「ぅお」
教室の中を覗いていたキョウに声を掛けると、振り向いた彼が少し驚いたような声を上げた。
ちょっとマヌケな顔に笑いそうになる。