キミはまぼろしの婚約者
小夜はいるだろうか。
急に緊張しだして、ひとつ深呼吸をしてから、意を決してインターホンを押した。
少しして『はい』と出たのは、彼女のお母さんだ。
「こんにちは。逢坂といいますが、小夜さんは……」
『もしかして律くん!?』
すぐにわかったらしく、俺が返事をする間もなく、駿足で玄関に出てきてくれた。
俺を見るなり、感激したような笑顔を浮かべる彼女。
「やだ、久しぶりじゃなーい!」
「お久しぶりです。元気でしたか?」
「相変わらずよ。律くんはすっかりイイ男になっちゃって~」
ニコニコ笑うおばさんは、おばさんと呼ぶには失礼な気がするほど若々しくて、昔と変わらなかった。
俺を覚えていてくれたことも嬉しい。
「突然どうしたの? 小夜に用事?」
そう聞かれ、少し背筋を伸ばして頷く。
「はい。今いますか?」
「それが、今日は友達と会うって出掛けちゃってるのよ」
申し訳なさそうに言うおばさんだけど、俺もその可能性はもちろん考えていた。
けれど、少し肩を落としてしまうのは否めない。
急に緊張しだして、ひとつ深呼吸をしてから、意を決してインターホンを押した。
少しして『はい』と出たのは、彼女のお母さんだ。
「こんにちは。逢坂といいますが、小夜さんは……」
『もしかして律くん!?』
すぐにわかったらしく、俺が返事をする間もなく、駿足で玄関に出てきてくれた。
俺を見るなり、感激したような笑顔を浮かべる彼女。
「やだ、久しぶりじゃなーい!」
「お久しぶりです。元気でしたか?」
「相変わらずよ。律くんはすっかりイイ男になっちゃって~」
ニコニコ笑うおばさんは、おばさんと呼ぶには失礼な気がするほど若々しくて、昔と変わらなかった。
俺を覚えていてくれたことも嬉しい。
「突然どうしたの? 小夜に用事?」
そう聞かれ、少し背筋を伸ばして頷く。
「はい。今いますか?」
「それが、今日は友達と会うって出掛けちゃってるのよ」
申し訳なさそうに言うおばさんだけど、俺もその可能性はもちろん考えていた。
けれど、少し肩を落としてしまうのは否めない。