キミはまぼろしの婚約者
隠された真実
電話で言った通り、10分足らずで来てくれたえっちゃんの車に乗り込むと、安心したのか、律はすぐに眠ってしまった。
ほどなくして着いたのは、えっちゃんも一緒に暮らしているというマンション。
彼は律を抱き抱えて部屋に運び、私をリビングに上がらせてくれた。
「悪かったね、迷惑かけて」
「ううん、私は全然」
「たまたま俺が休みでよかったよ」
苦笑するえっちゃんだけど、あまり動揺した様子はない。
私はすごく心配したけど、病院に連れていくほどでもないみたいだし……。
やっぱり、ちゃんと律の身体のことを知りたい。
律が寝ている部屋の方を眺めていると、キッチンに回ったえっちゃんが、「何か飲む?」と問い掛けた。
お言葉に甘えて飲み物をもらうことにした私は、リビングのソファーに座って彼を眺める。
その姿はすっかりカッコいい大人の男性だけど、優しい雰囲気は昔のままで、なんだか落ち着くな。
おかげで、4年ぶりだというのに、まったく違和感なく話せるよ。