キミはまぼろしの婚約者
涙でぐしゃぐしゃで、お世辞にも可愛いとは言えない顔だったと思う。
それでも、律は私を愛おしそうに見つめて、『俺も』と言ってくれた。
『小夜のこと、一日も忘れないよ。絶対また会いに来る。……約束』
そう言って、彼は自分の小指を立てて私の前に差し出した。
私より少し大きくて、だけど大人には遠い、まだまだ小さな手。
その小指に私の小指を絡ませ、きゅっと結ばれるのを見たら、せっかく堪えた涙がまた湧き出てしまって。
結局泣いてばかりの私の頭を、律は優しく笑いながら撫でてくれた。
この日、私は知ったんだ。
子供であることの無力さと、交わした約束の心強さを。
もっと大きくなって、自分の意思でどこへでも行けるようになったら、絶対にまた会おう。
それまで、律の言葉を信じて頑張ろう。そう思い続けてきた。
この四年間、私は本当に、律を忘れた時なんて一日もなかったよ。
……でも。
高校生になって、多少の遠出もできるようになったけど、私には彼に会いに行けない理由ができてしまっていた。
そんな時に、彼の方から私の前に現れることになるなんて──。
それでも、律は私を愛おしそうに見つめて、『俺も』と言ってくれた。
『小夜のこと、一日も忘れないよ。絶対また会いに来る。……約束』
そう言って、彼は自分の小指を立てて私の前に差し出した。
私より少し大きくて、だけど大人には遠い、まだまだ小さな手。
その小指に私の小指を絡ませ、きゅっと結ばれるのを見たら、せっかく堪えた涙がまた湧き出てしまって。
結局泣いてばかりの私の頭を、律は優しく笑いながら撫でてくれた。
この日、私は知ったんだ。
子供であることの無力さと、交わした約束の心強さを。
もっと大きくなって、自分の意思でどこへでも行けるようになったら、絶対にまた会おう。
それまで、律の言葉を信じて頑張ろう。そう思い続けてきた。
この四年間、私は本当に、律を忘れた時なんて一日もなかったよ。
……でも。
高校生になって、多少の遠出もできるようになったけど、私には彼に会いに行けない理由ができてしまっていた。
そんな時に、彼の方から私の前に現れることになるなんて──。