キミはまぼろしの婚約者

こんな賑やかな始まりを迎えたニ学期、私の心は澄み渡っていた。

律の体調は気掛かりだけど、彼のクラスの仲の良い友達も、病気をカミングアウトして以来気遣ってくれているらしく、特に問題は起こっていない。

以前までのチャラチャラした雰囲気はまるで消えているし、女子達は不思議がっているかも。


そして、あっという間に文化祭を迎え、今日は一般公開二日目。

うちのクラスのコスプレカフェという名の出し物も、まあまあな盛り上がりだ。

奇抜なコスプレをしている人もいるけど、私はフリフリのレースがついたちょっとだけゴスロリっぽい服を着ている。


休憩の時間になると、ありさと一緒に比較的静かな体育館の横にやってきた。

なぜか海賊のコスプレをしている彼女だけど、それがめちゃくちゃ似合っている。うっかり惚れちゃいそう。


「なんか女子から熱い視線を感じるんだよね」

「だって、ありさカッコいいもん!」


同じく熱い視線を送る私に、ありさは呆れ顔。


「でも裏方の手伝いしてる時、料理の手際の良さに感心してる男子も結構いたよ」

「そぉー? ま、あたしの魅力に気付いてくれる人がひとりくらいいてもいいか」

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