キミはまぼろしの婚約者
一般公開が終わった後は、後夜祭が行われる。
その時に会おうと律と約束していた私は、クラスの後片付けが終わると4組に向かった……のだけれど。
「逢坂なら、古畑と一緒にどこか行ったよ」
「えっ?」
律とよく一緒にいる男子が教えてくれて、私は目が点になった。
律がキョウと? 何か話があったのかな。
どこに行ったんだろう……。
少しだけ考えて思い浮かんだのは、律と話した時に彼に連れられて行った、屋上に繋がる階段。
なんとなくそこへ向かってみると、上の方から話し声が聞こえてきて、思わず忍び足になってしまう私。
そーっと近付いてみると、男子のこんな声が聞こえてきた。
「病気だなんて知らずに、いろいろ言って悪かったな」
この声に内容……やっぱりキョウが律に言ってるんだ。
邪魔はできないけど話も気になって、私はその場で静かに耳を澄ませる。
「いいんだよ、そんなの。言われても仕方ないことをしてたのは俺なんだから。……ていうか、キョウのおかげで思い直すこともできたし」