キミはまぼろしの婚約者

律が引っ越して、しばらくは私も中学の生活に馴染むためにいっぱいいっぱいだった。

小学校では別のクラスだったキョウは、中学で同じクラスに。ありさとも入学して早々仲良くなって、今に至る。


ようやく新しい生活に慣れてきた頃、思い切って律の家に電話を掛けた。

まだお互いに携帯を持たせてもらえなくて、家電同士のやり取りだったから、かなり緊張した覚えがある。

久々に律の声を聞いて、なんだかすごく感動したっけ。


面白い友達ができたとか、サッカー部に入って練習が大変だとか、充実していそうな弾む声で話してくれた。

私も中学のことやキョウのおもしろ話をたくさんしたけど、どれだけ話しても足りない。

だからたびたび電話を掛けていたのだけど、かなり頻度が多くなっていたようで、見兼ねた両親に怒られてしまった。


しばらく電話禁止令が出されてしまい、私は仕方なく手紙を書くことにした。

引っ越す前に住所を聞いた時、律は『手紙は苦手だから書かないかもよ』と言っていたけど、どうしても何か繋がりを持っていたかったから。

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