キミはまぼろしの婚約者
「気合い入ってるなぁ、ふたり」

「私はサッカーがよかったです」


ふいに、運動嫌いを公言している真木ちゃんがそんなことを言うから、私はキョトンとする。


「え、真木ちゃんサッカー得意だっけ?」

「ゴール付近でラクできるじゃないですか。ボール来た時だけキャーキャー言うのが私には最適です」

「あ、そういうこと……」


ブレない真木ちゃんの答えに、私は苦笑した。

たしかに、女子同士でやるサッカーって楽しいけどね。


「でも女子の種目にサッカーはないので、バレーでキャーキャー言うことにします」

「う、うん。とりあえず頑張ろっか」


真木ちゃんがキャーキャー言うとこ見たことないけど……と思いつつ、同じくバレーを選択した私も、今日の練習も真面目に取り組んだ。


……のだけれど。


「あぁぁいったー!」

「サーブを打って手首ではなく足首を痛めることがあるんですね」


授業終了5分前、サーブを打った直後になぜか捻ってしまった足を押さえる私に、真木ちゃんの冷静な声が投げかけられた。

うぅ、心配する前にそんなことを言うとは薄情な……。

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