キミはまぼろしの婚約者
な、ななな何言ってんのっ!?

ギョッとしつつ、一瞬で顔を真っ赤に染める私。冗談だとわかっているのに動揺してしまう。


「っ……遠慮します!!」


口をパクパクさせた後、なんとか声を出して、バッと顔を背けた。

そんな私の耳を、クスクスと笑う律の声がくすぐる。

もう、何でこんなに軽くなっちゃったのよ……。

ああいう発言はたまにキョウもするけど、今の相手は好きな人なんだから、ドキドキレベルは比較にならない。


これがもし恋人同士なら、喜んで頷いちゃうんだけどなー……

なんて桃色のこと考えてないで、早く手当てしろ私!

片足でぴょんぴょん跳ね、とりあえず律から離れようとしていると。


「そこ座りなよ」


その言葉に反応して動きを止めた。

振り返ると、片手をポケットに入れた律が、もう片方の手でベッドを指差している。

ぽかんとする私に、さらにこんな一言が。


「で、脱いで」

「……はぁっ!?」


ぬっ、“脱いで”!?

冗談でもありえない!!

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