キミはまぼろしの婚約者

その数日後、キョウは4組の前の廊下に律を呼び出していた。私とありさも、一応彼の後ろにくっついている。

やってきた律は、私達を怪訝そうに見て口を開いた。


「何のご用で?」

「謝罪と勧誘をしに」


ぶっきらぼうに言うキョウは、無愛想なまま腕を組んでさらに続ける。


「この間は急にキレて悪かった。おわびに、“俺達とサニーサイドランドへ行こうの集い”に誘ってやる」

「……謝ってくれてるんだよね?」


なぜか上から目線のキョウに、ぎこちなく笑う律。私達も目を見合わせて苦笑した。

何でこんな誘い方になるかなぁ……やっぱりついてきてよかったよ。

すると、ありさがひょこっとキョウの隣に並んで笑顔を見せる。


「あたし、棚橋ありさっていいます、よろしく。サニーサイド行ったことある? 逢坂くんもどうかな?」


さすがありさ、フレンドリー!

助け船を出してくれた彼女を頼もしく思いながら、律の様子を伺う。

予想はしていたけど、その表情はあまり気が乗らなさそうだ。


「……せっかくだけど遠慮するよ。俺、君達とそんな仲良くないし」

「仲良くなるための計画なんだよ」


間髪入れずに、キョウが言った。

律は悩むように目を伏せる。やっぱり難しいかな……。

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