キミはまぼろしの婚約者
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球技大会、当日。
私達女子4人組は、自分達の試合の合間に、4組対5組のサッカーの試合を見に来ていた。
キョウがけしかけた、あの約束が懸かっている試合だ。
コートの中では、白いTシャツにジャージ姿が爽やかな律が、華麗にボールを操っている。
「さすが、逢坂くんカッコいいですね」
「ほんとほんと。サポーターの歓声が一気に黄色くなったわ」
真木ちゃんと海姫ちゃんが、腕組みをしながら感心したように話している。
黄色い声援は送っていないけど、目をハートにしているのは私も同じ。
律がサッカーやってるとこ、久々に見たなぁ。本当にカッコいい。
「あれでサッカー部入ってないなんて、もったいないねぇ」
ありさの言葉に、私も心底同意する。
少し前に真木ちゃんから聞いていたけど、律は高校ではサッカー部に入っていないらしい。理由まではわからないみたいだけど。
私はずっと続けるものだと思っていたから、ものすごく意外だ。それに……。
「でもなんか、ちょっと手を抜いてるような気が……」
なんとなくだけど、動きにキレがないように思えて、そう呟いた。