キミはまぼろしの婚約者
「いや、すっげー昔に行った……けど、中がどんなだったかはもう覚えてないね。その頃はそんなレタスの妖精もいなかった気が」

「おひさまの妖精な」


珍しくキョウが即座につっこみ、私達は爆笑。

律も楽しそうに笑っていて、私は心底ほっとした。

いつの間にかわだかまりはなくなっているし、このまま楽しい一日を過ごせたらいいな。


前から3人で話していたのだけど、今日は律の昔のことに関しては何も話題にしないつもり。

だから、質問するのは当たり障りないことばかりだったけど、それでも確実に打ち解けてきていた。



30分ほど電車に揺られた後、最寄り駅からさらに10分ほど歩いて、サニーサイドに到着。

家族連れや、私達と同じような学生らしき集団で賑わっている。


「久しぶりに来たー! 何から乗ろう~」

「まずは腹ごしらえじゃね?」

「もう!?」


わいわいと話すありさとキョウの後ろで、私はポケットに両手をつっこんで歩く律を見上げる。


「律は絶叫系は平気?」

「実はあんまり」


そうなんだ、これは初めて知った。ちょっと意外。

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