mermaid princess~人魚姫の恋~
「セーフ。大丈夫?」
耳元で囁かれる甘い声。
見なくても解る。
きっと私の顔は真っ赤だ。
「…大丈夫。ありがとう」
「ドジ」
クスクスと笑う声が耳元で聞こえて、ちょっとくすぐったい。
ゆっくり左腕が離された。
でも右手は、私の手を掴んだまま。
「危ないから手を繋いどこう」
「…うん」
素直に頷く。
「じゃあ」
出された海斗くんの右手を、そっと掴む。
自分のドジに感謝したくなった。