金髪碧眼王子様!?
君は君
この隣で、真城さんが休んでる…。
俺と真城さん以外には誰もいない。
「…真城さん、起きてる?」
ハッとしたような息遣いと、布の擦れる音がした。
「まぁ、起きてなくても良いよ。このまま勝手に話すから聞いてほしいんだ。」
ずっと、話したかった。
ずっと、伝えたかった。
俺以外、きっと覚えていないだろう、昔の話。
「…この髪と瞳の色は生まれつきなんだ。染めたり、カラコンを入れたりしてる訳じゃない。俺は日本生まれ、日本育ちの外国人。」
コンプレックスを話すのがこんなに緊張感あると思わなかった。
「今だからこそ、受け入れて貰えるけど、小さい頃は凄く差別されたんだ。金色頭に青色の瞳、日本人離れした顔立ち。その全てが、俺に孤独を与えた。」
仲間外れにされた。
いじめられることもあった。
「俺には小さい頃から友達がいなかった。幼稚園で遠足に行っても、運動会でも、いつも先生か母親と一緒だった。そんな毎日を繰り返して、いつの間にか中学生になった。」
物好きやミーハーが寄ってたかった。
そこには幼稚園、小学校が一緒の人もいた。
今更なんだよ、って思うのが自然だよな。
「俺はこの見た目だから、中学の頃からは告白されることが多かった。けど、そのどの子も、顔しか見てないんだよ。そんな時、公園で同じ位の女の子に出会った。」
寝返りを打つ音が聞こえた。
「俺がため息をつくと、その子は、幸せが逃げちゃうぞって俺に笑顔で言ったんだ。俺はその頃、いつも帽子とサングラスをしていて、ある日、雨が降ってそれを外すことになった。その時、その女の子はやっぱり俺を凄い見たんだ。」
今度はベッドが軋む音。
カーテンの向こう側に、起き上がった彼女の影が見えた。
「俺はどうせまた偏見を持たれるんだと思ったんだ。だけど、それは検討違いだった。その子は、俺の瞳を覗き込み、綺麗な目だね、髪の色も似合ってるし!って、そう言った。俺は初めて救われたような気がした。」
カーテンが開いた。
俺が開けたんじゃない、真城さんが開けたんだ。