神に禁じられた恋
「どうか……俺に譲ってはくださらないか」






レイモンドは瞼を閉じ、祈るように言った。






「あなたは、彼女でなくても良いのでしょう?


この国の王女であれば、誰でも良いのでしょう?



―――俺は、どうしても。


あの子でなくては、駄目なんだ………」







言いながら、先ほどの晩餐会で間近に見たエレティナの顔が頭に浮かんだ。





儚げな表情で、頼りなげな瞳で、震える声で―――エレティナは全身を使って、耐えているように見えた。




それが、レイモンドへの想いを押し隠すためだと思ったのは、レイモンドの勝手な希望だろうか?






(―――いや、ちがう。


エレティナは、俺を愛している。


俺がエレティナを愛しているのと同じように………)




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