神に禁じられた恋
生来の明るさをすっかり失ってしまったかのようなエレティナを見るたびに、レイモンドは火のついたような激しい焦燥に駆られた。






(………このまま、エレティナを行かせていいのか)






あんな暗い表情のままで、エレティナが神殿で幸福な人生を送れるとは思えなかった。




妹のように、恋人のように、想いをかけて慈しんできたたった一人の少女が、人里離れた神殿の奥深くに囚われて、ただただ祈りの日々を送り、孤独に一生を終える。





そんなことは、どうしても耐えられない。





しかし、どうにもならないことだった。




エレティナが神殿入りすることは、国民にとっての希望である。




もしもそれを阻止すれば、全国民が混乱し、災いを恐れ、国中の秩序が乱れて、長年かけて培ってきた平和が失われてしまうだろう。




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