社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「んっ……っ」
一度目とは違う……私を確かめるようなキスは離れそうになるたびに何度も唇が重なった。息継ぎがうまくできずに息苦しささえ感じる。
けれど、その余裕のないキスが私の体を甘い痺れで満たしていく。
立っていられないほどの甘い痺れに、私は体を衣川課長に預けた。しっかり支えられる腕の強さに、胸のぬくもりに幸福しか感じない。
長いキスが終わっても、衣川課長は私を腕の中で抱きしめたままだった。その体制のまま、私は気になることを聞いてみた。
「あの、どうしてチョコレートわざわざ貴和子さんを通じて渡してくれたんですか?」
「ああ……あのことか」
頭の上から小さな溜息が聞こえた。
「あのころ、お前全然元気がなかっただろう。なにかしてやろうと思ったけど、アレしか方法が思いつかなかった」
「直接渡してくれれば、あんなに泣かずに済んだのに」
彼を責めたいわけではなかったが、結果そうなってしまった。
「あれはお前が俺を避けてたから……いや、俺が悪かった。もっとちゃんと話しをするべきだったな」
抱きしめたまま、頭をなでてくれた。そのやさしい手つきからも謝罪の気持ちが伝わってくるようだ。
「お詫びに、明日のモーニングはまたあのパンケーキを食べに行こう」
「はい。あっ……でも並ばないといけないから待ち合わせ時間、結構早くしないといけないですね」
顔を上げて衣川課長の顔を見ると、楽しげに笑っていた。